Aug.21.2016 立山・剱岳 "Setting forth"

お盆も過ぎましたが、長期予報の通り猛暑の日々が続いていますね。

この夏はテント泊で登山しようと思い、国内で最も険しい山の一つとされる剱岳に登ってきました。
立山三山を縦走して剱岳への最寄りのキャンプ地点へ到着、翌日に剱岳をピストン登攀する計画です。犬は知人宅に預かってもらいました。

前日に出発して富山県に入り、朝一番に立山駅からケーブルカーとバスを乗り継いで一気に1500mほど標高を上がった室堂へ。バスはブナや杉などの原生林を通過しますが、風雪に耐えた風格のある巨木らに驚かされました。


室堂バスターミナルからはいよいよ歩いて山を登り始めます。これから登る山並みが室堂平を囲むようにしてそびえています。


いきなり標高2400mの高所に来て重荷を担いで歩き出すと、すぐに酸素不足で脈拍が上がり息が荒くなります。



一ノ越から三ノ越の浮き石の多い急坂を黙々と登り続け、立山三山の最初の山である雄山に登頂。


ここには雄山神社があり、神主さんもおられます。雄山までは日帰りの軽装の登山者も多かったです。遠くの眼下には黒部ダムも望めました。


ここで最初の食事を摂りました。グラノーラ、袋ラーメン、レトルトカレー、ご飯、ミックスナッツ、クッキー、スープ、コーヒー、飴などが今回の食料。
袋ラーメンを食べたのは21世紀に入ってからは初めてでしたが、最新のラ王はかなり美味しくて驚きましたよ。


再び尾根を歩き、次の大汝山山頂に登頂。ここの山小屋を切り盛りしていたのは面白い方でした。オフシーズンにはインドのガンジス川上流地域で暮らしてるとか。僕もインドは好きなので良い情報を得ました。


そして立山三山の最後、富士ノ折立へ。
天気予報で晴れの日を狙って来ましたが、だんだんガスがかかってきました。次の真砂岳、別山へ至る稜線の両側は雪渓の谷や、賽の河原のような見渡す限りの石の斜面です。




別山へたどり着くとついに眼前に剱岳が現れました。眼下に広がるカールの底には一日目の目的地、剣沢キャンプ場も見えます。



見えてはいても距離があるので、到着した時は日が傾きかけていました。
途中で天然記念物の雷鳥に遭遇しました。3万年前の氷河期から棲息しているそうですよ。


荷を降ろし、テントを設営します。テントから剱岳が正面に見える最高のロケーションです。




僕のテントはモンベルのムーンライト1、ザックはドイツのvaude製で、どちらも25年くらい使っています。国内外の様々な場所へ担いで行きました。最近のソロテントの主流は半円形を二つ合わせた形ですね。僕のは三角型でかなり年季が入ってます。


登山靴を脱ぎ、食事を済ませて、山の冷涼な空気の中で暮れゆく空が星空に替わるのをじっと見つめていました。なんとも言えない穏やかな気持ちになります。
19時頃には眠ってしまったと思います。夜中に目覚めた時に、満天の星空を見ることができました。くっきりとした天の川や、1・2等星の間にもたくさんの星が見えるので非常に奥深くクリアな空でした。下界とはまったく違う星空です。この地球が宇宙に存在していることを実感します。

翌朝は3時頃に起床。もっと早く行動しているグループの物音で目が覚めました。
まだ暗いのでヘッドランプの灯りを頼りに歩きます。

そのうち夜が明けて山に茜が差してきました。御来光を拝んだ後はだんだん気温が高くなってきます。

剱岳は巨大な岩の塊のような山で、登山ルートには何箇所も鎖場や梯子が設置されています。




好天の週末で登山者が多いため、鎖場では通過待ちの渋滞が起きます。
たまたま同行することになった人と親しくなるのは山ならではですね。エキスパートな登山者のお父さんと共に登っていた男の子は、7歳にして50座目登頂がこの剱岳とのこと。驚きです!
また、若い頃は北アルプスを何度も縦走していたという年輩の方からは当時のスタイルを伺いました。当時の道具は重く、ザックのウエストベルトも無かったので50kgの荷を肩だけで担いだことや、食料の乾パンは町のパン屋さんにオーダーして作ってもらったという話しを聞かせていただきました。
渋滞があると、話したり撮影する余裕ができますね。
ここは標高約3000mで、空の色が平地で見るよりもずっと青いです。紫外線も強烈で、テントにゴーグルを置いてきてしまったので目が赤くなりました。




「蟹の縦這い・横這い」などの難所を手元足元に気持ちを集中して登り、ようやく登頂成功。
頂上は360度の展望で、日本海から押し寄せる雲、昨日縦走したルート、遠くには未だ登頂していない名山の数々。しばらく堪能してから下山します。




   

昼過ぎに再びテントに戻り、食事とパッキングを済ませて、2泊目の目的地である雷鳥沢キャンプ場へ出発します。いったん剣御前小舎まで上がり、そこからは雷鳥坂をひたすら下ります。気温が高くなり、日陰もないのでなかなかこたえました。下りは脚への負担が大きいのでなおさらでした。
2時間ほど歩いてキャンプ場に到着すると、すぐ横を流れる小川に素足を浸しました。痛いくらい冷たいです。よく働いてくれた足をクールダウンできました。
再びテントを設営してから、近くの雷鳥沢ヒュッテで温泉に入りました。600円と良心的です。
風呂に浸かりながら、窓から立山を眺めるという贅沢をしました。

風呂から上がるとテレビで"NEXT 未来のために「オバマと会った被爆者」"という番組を放映していました。
この日は8月6日で広島の原爆の日でした。もちろん頭にはありましたが、襟を正す思いでした。
この登山も、日々の暮らしや仕事、社会の営みも、平和であればこそ成り立つことを改めて思います。
テントに戻り食事を済ませ、静かに日の暮れる夕映えの峰々をずっと眺めていました。
この夜は気温が下がり、寒いくらいでした。

翌朝は室堂ターミナルから再びバスとケーブルカーを乗り継いで帰路につきます。下界は35℃の猛暑で、山との差にクラッとします。
無事に下山して、充実した気持ちで信楽へと戻りました。

今日の一曲、Eddie VedderそしてPearl Jamの音楽は、大自然との親和性が高く(おかしな表現ですが)、人間の心や体温を感じます。60年代〜70年代のカウンターカルチャーの精神を受け継いでいるという感じがしますね。
この曲は映画 "Into the wild"のサントラに入ってます。ショーン・ペン監督なので期待してましたが、この映画に関しては原作本のノンフィクションの方が良かった!
公開当時に僕は鳥取で陶器の修業中で、金も時間も無いのにこの映画を観るためだけに神戸まで行った思い出があります。


Eddie Vedder "Setting Forth" Pearl Jam,thank you for the videos and upload.

コメント

Unknown さんの投稿…
お疲れ様です。山内です。山本さんのブログ発見しましたよ。僕も山登りしたくなりました。山本さんの経験や感情や様々な情報が山本さん目線で綴られたブログはとても面白くて読みいってしまいました。まだ最初のブログまでは読み切れていませんが、少しづつ最初の投稿まで読ませていただきます。このブログはこれからも続けて欲しいですねヽ(´▽`)/

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