Dec.16.2016 読書 "Book of days"


しばらく更新をサボっているうちにもう年末です。来週は冬至でクリスマスも近いですね。

11月からは今年も水口で日本酒造りの仕事をしています。既に新酒も出来ていますよ。


その直前まで朝宮で秋の製茶をしていました。以前も書いたように、製茶作業中は10分おきくらいに作業と待機を繰り返すので読書も可能です。


というわけで、製茶期間中にとても面白い本を読むことができました。

ブライアン・フェイガン著

「古代文明と気候大変動」

河出文庫

(Brian Fagan  /

The long summer: How climate changed civilization )


最後の氷河時代から中世までの15000年間の気候変動と、人類やその食料である動植物の生態、いくつもの文明の興りから滅亡までを非常に鮮明に綴った内容です。

多くの遺物から考察された人類史と、膨大かつ長期に渡る研究の成果から明らかになる地球の気候変動との関係性を、眼前に見るかのように提示されています。ある事象を導き出すための調査からして、驚くような発想の手法です。

特に黒海が誕生した時のくだりには驚嘆しますよ。幸田露伴の「五重塔」の最終章のように、淡々とした流れが突然に驚天動地の展開になります。


将来再び氷河時代が訪れる可能性はありますから、もしかしたら世界人口は現在の地方都市のそれ程度に減るかもしれません(あくまで根拠の無い素人考えですが)。

僕がそれでも絶望しない、むしろ希望を感じるのは、その永遠に続くかのような極寒の時代を生き抜いた先祖たちがいて、その結果現在の我々が存在しているという事実があるからです。


本書によると、氷河時代を生き延びた人々というのは、家族単位の最小集団で生活の拠点を移動し続け、気候の変動に応じて食物の種類とそれを収穫する手段を柔軟に変化対応してきたと考えられるそうです。

その後、温暖な気候で定住し集団化し始めた人々は、土地生産性の制約ゆえに気候変動に対して脆弱になり、現代の地球規模で都市化した世界は非常に脆弱な状態と言えるそうです。


文明とは、多くの人口に対しての大規模な食料の集約・備蓄・分配を安定的に行うシステムのことだろうと思います。

システムを維持するために支配者・被支配者、富、宗教、政治、法律、農業技術、建築土木技術、土地開発、灌漑設備、文字、記録、数学、天文学、暦、医学、文化、美術工芸が生まれ、さらに都市、国家、境界線、軍隊、戦争が派生したのでしょう。

つまるところ文明が滅びるというのは、多くの人々に長期的に食料が行き渡らなくなることの結末であると思います。


読後には世界がまるで違って見えてくる、そんな本でした。 

そうそう、氷河時代をサバイバルするのに重要だった発明品として、「弓矢」と並んで「縫い針と糸」を挙げていることが印象的でした。


今年度のノーベル賞を受賞した大隅 良典氏が今の日本の科学について、すぐに商業的に役立てられる研究が推奨される傾向を憂いていました。

この本にあるような研究も商業的には役立たないでしょう。しかし、人々の意識を変化、拡大させ、異なる視点を持つことを促すという本質的な影響を与えてくれます。


今日の一曲、エンヤは大事なものを見落とさないために、決して走らずに歩いて移動すると聞きました。すぐに駆け出してしまう僕としては考えさせられます。

そんなスローなエンヤは意外にもMETALICAも聴くそうですよ!


Enya " Book of days" EnyaTV ,thank you for the videos and upload.

Спасибо за чтение моего блога! 

Я пришел в Японию президента Путина вчера и сегодня.

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